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医局人事を離れて故郷の健診施設にUターン転職した医師の体験談

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(転職前・転職後): 中国地方の田舎の総合病院の放射線科→ 東海地方の総合病院の健診施設医
(転職時年齢):40代前半
(転職概要): 元々は理学部の卒業で研究者になる予定でしたが就職が思っていた以上に厳しかったため、研究者を諦め就職が確実にできる医師になろうと医学部に入ったのがそもそもの医師になったきっかけです。合格できそうな医学部として故郷からは離れた大学を受験し合格しました。そして他学部卒業後の医学部入学のため、卒業後は体力的に辛くなさそうな科として放射線科を選びました。しかし入局した医局は人員不足でどこの関連病院も程度の差はあれみんな忙しいというような状況でした。それでも卒業から専門医をとって数年程度までは体力がもちましたが、その後は限界が近づき、また故郷の両親が高齢になったこともあって故郷へ帰る段取りをつけようと教授に相談し転職活動を始めました。医局人事で最後にとある病院に1-2年だけなんとか勤めてほしいと教授に言われ了承しましたがそれを最後にしました。でもその病院が地域の中ではやや僻地といってもいいような場所の病院で関連病院の中でもトップクラスに忙しい病院でした。残業は月200時間近く、最後のお礼奉公と思って頑張ったものの最終的にはうつ病となってしまいました。このときの経験で次に勤める病院は絶対に体力的に無理のない病院にしようと心に決めました。幸い2年はもったため教授からは「本当にありがとう、助かった」と言われ円満に退局ができ、その後は転職エージェントを利用し故郷である県の健診施設に転職が決まりました。Uターン転職ということになると思います。
(転職したメリット)
メリット①
健診・人間ドックでの最大のメリットは体力的余裕でしょう。基本的にこの分野は定時帰り・救急対応なし・当直なしが当たり前な病院・施設が多いため決まった時間に家に帰れるし夜中に起こされることもありません。さらには勤務に関して週1-2回だけ、読影を〇件だけ、といった融通がきくことも多いです。そのため持病持ち・うつ病からの復帰という人や、家庭のことも考えなければならない女医、親の介護が始まってしまったベテラン医師、定年退職した高齢医師など、普通の臨床で常勤勤務がとてもではないが無理という人でも働くことができます。 もちろん逆に「スキルが衰えては困るから、多少は臨床の業務もしたいんだけど…」という医師も総合病院併設の健診施設に勤務すれば外来や当直は可能です。むしろ人手不足な病院は多いので「ぜひ専門性を活かしてください」と歓迎されるケースが大半です。
メリット②
自身の今までの専門性をいかせる可能性が高いという点もメリットにあげられると思います。私の場合はもともと放射線科であり、画像検査を多用する健診・人間ドックにおいては施設側が喉から手がでるほど欲しい診療科でした。健診・人間ドックでは自身の専門性を引き続き活かせることが多いです。以下「健診施設が欲しがる診療科」です。
循環器…心電図判定、心エコー、冠動脈CT(心臓ドック) 呼吸器…胸部Xp読影、胸部CT(肺がんドック) 消化器…バリウム検査・腹部エコー読影、胃・大腸カメラ
神経…頭部MRI(脳ドック) 婦人科…婦人科健診、子宮がん検診 眼科…眼底カメラ読影 放射線科…画像全般  その他…マンモグラフィ読影認定医
メリット③
新しいキャリアが開ける可能性があるという点もメリットとしてあげられるかもしれません。それは産業医です。健診施設は大抵企業と契約しているので、企業側から産業医の依頼があるケースがしばしばあります。健診施設は健診・人間ドックの顧客として会社の社員をまるごと契約できるし、企業側は産業医を確保できるとwin-winの関係になっていることも多々あります。特に地方では産業医の確保が難しいことが多いので企業は健診施設に「産業医はいないか?」と尋ねてくることが多いです。
(転職したデメリット)
デメリット①
デメリットとして第一に挙げられるのが、今まで以上に相手に丁寧に接する必要がでてくる点です。なぜかというと相手が「患者さん」から「受検者さん」に変わるためです。これは「受験者さん」=「お客様」であるというと分かりやすいかもしれません。健診・人間ドックでは臨床現場のように「診てほしい」と患者さんが来るわけではありません。患者さんは多少医療者側の失礼があっても我慢してなにも言ってはきませんが、受検者さんはすぐに怒ります。なぜなら健診施設を選んで高いお金を払ってきてくれるお客様だからです。なので丁寧に接することを心掛けないと即クレームになります。また、会社に言われてしょうがなく来てるという人や「俺は普段病院なんか嫌いだ、ぜったい行かない」という人も多数います。こういった許容度の低い人たちになにか失礼があれば、すぐにその場でクレームに発展します。
デメリット②
やりがいが臨床に比べると薄い点もデメリットかと思われます。健診・人間ドックでは受検者さんの簡単な診察と画像検査の読影という仕事の繰り返しです。毎日が繰り返しになるケースが多く、代わり映えのない日々になりやすいです。気になる人は外来のバイトや産業医などを手配して日々の生活に変化をつける必要があるかもしれません。

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