空港の医務室の医師
空港には医務室が完備されています。空港は毎日たくさんの人を国内外の空港へ送り出したり迎え入れたりする場所。空港内で体調を崩される方に対する治療や、風土病や伝染病が流行っている地域から帰国された方の健康相談を行うことを主に行っています。空港の医務室で働く方に望まれるのは、総合医療に関する知識と迅速な判断力です。フライト時間や患者の今後の予定などを照らしあわせて適切な処置を行ったり、飛行機への搭乗を医師の権限で留めたりするなどの判断が求められます。もちろん病態によっては総合病院への搬送を指示することも行います。 また日本では罹患率が皆無に等しい伝染病が流行している地域に旅行された方に対する健康指導などを行う立場も担いますので、知識を保つ必要があります。もちろん空港医務室にかかるのは日本人だけではありませんので、ある程度の英会話力・コミュニケーションスキルが求められます。
採用枠としては検疫医療専門職(医師)と厚生労働省のHPに記載があります。報酬に関しては病院の勤務医と同等あるいはプラスアルファが望めます。勤務体系は空港がオープンしている時間は全てカバーをすることになりますので複数名でのシフト勤務が殆どです。また関西地方にある国際空港では大学付属病院から医師が派遣されクリニックを運営している事例もあってこういうケースも「空港医務室で働く医師」と表現できるかもしれません。
企業の医務室の医師
常時50名以上の労働者を使用する事業所はその事業場ごとに一人以上の産業医を専任しなければならない労働安全衛生法の決まりがあります。3000人以上を使用する職場においては産業医は二人以上と決められています。企業の医務室で働く医師は産業医として委嘱されて働きます。ネームバリューの高い企業で働ける可能性もありますし土日休みの可能性も高かったりと様々なメリットもあります。
企業の医務室の医師求人は急増中の一途をたどっています。メンタルヘルスの面に関する休職・退職者が相次ぐ中、会社としてもそれを食い止めたり、病気を抱えながらも仕事を続けていくためのサポート事業を打ち出していったりする必要性があるためです。産業医としての資格はもちろんのこと、メンタルヘルスの医療の知識を有する人材が強く求められています。また会社員に急増する新型うつなどに対応出来る医師は優遇されることでしょう。報酬の面では企業内社則に準ずる事が殆どですが、役員報酬プラス医療職手当などが期待できます。企業内クリニックを運営する場合は、これにプラスして診療報酬などを受け取ることができる可能性も考えられます。
客船の医務室の医師
医師の仕事として認知度が低いのが「客船の医務室で働く医師」の存在です。数百規模が乗船する大型客船には医務室が完備されており、医療器具・医療機器のほか入院用ベッドが用意されています。数日間掛けての航海を行うために簡易手術室等も用意されています。客船で働く医師は1航海で数日~十数日間の拘束がありますが、報酬は一般医師よりも高額に登る事が予測されます。
客船の医師に求められることは、メンタルヘルスはもちろんのこと、内科・外科等総合診療に携わることができる知識を持っていることが第一に挙げられます。また高い判断力を求められ、患者の隔離・下船措置などを医師の判断で即座に行うことが求められます。客船の乗船者は日本人だけではありませんので、英語が話せる事・コミュニケーションが取れることが望まれます。世界各国を巡る客船の場合は、各国の検疫官ともコミュニケーションを取ることにもなります。一般クリニックとは違い24時間体勢で職務に当たる必要性がありますので、体力的にタフな方が求められます。もちろん船上生活になりますのでご自身の船酔い等の対策も必要になりますよね。
また客船で働く医師の最大仕事に、クルーのメンタル面を見守る仕事があります。神経を常に研ぎ澄ませなければいけないお仕事であり、いわば密室空間での長期間拘束の仕事になりますので心身のバランスを崩してしまう船員も多く見受けられます。カウンセリングにウェイトを置くことができたり、必要措置が取れたりする医師であれば尚の事厚遇されるでしょう。商船会社では様々な事態に対応できるよう複数名の医師を確保する事が多いようです。 客船の医務室で働くには狭き門である可能性が高く、なかなかお仕事を見つけることができない場合もあります。医師専門の転職支援サイトではごく稀に客船や商船で働く医師の求人案件が取り扱われることがあります。タイムリーに情報をキャッチするには、無料会員登録をすることが第一選択です。
刑務所の医務室の医師
刑務所の医務室で働く医師は法務技官として地位が保証されています。医師として働く常勤の国家公務員として認められています。刑務所の医務室では、被収容者の診察や治療に当たります。また疾病の予防や健康管理も行います。勤務地は全国各地の刑務所・少年刑務所、拘置所、少年院や少年鑑別所になります。エリア毎に採用されますが、基本的に転勤が伴うお仕事になります。働きが認められれば、医療刑務所長などの幹部職員への登用の門戸も開かれます。給与は国家公務員として医療職俸給表に基づいて支給されます。年齢や経験年数に合わせて給与が決定しますが、医療職は一般的な国家公務員よりも年収が高く、地位も認められています。
刑務所の医務室では、8時間勤務が原則で勤務医よりも拘束時間は少なくなります。ただし、刑務所でのお仕事になりますので業務上様々な弊害はあることでしょう。ですが診療にあたっては、刑務官が付き添うことが殆どですので、安心して業務を行うことが出来ます。刑務所の医務室では、内科・外科・整形外科医のニーズが高くあります。また精神科専門医や保健医療福祉関する事柄(プライマリーケア)の能力がある方は強みがあると言えます。女性専用の刑務所もありますので産婦人科医や医療刑務所で働く医師であれば診療科目は救命救急医など様々な専門分野が求められます。
学校の医務室の医師
学校の医務室に医師が常駐するケースがあります(大学に関しては以下で別途分類)。開業医が嘱託されて学校医として活動することが主ですが、大規模な学校・専門学校などに関しては医師を常駐させて体調不良に対応したりカウンセリングなどを担ったりするなどの仕事をするケースもあります。定期健康診断などの問診・内診を行う業務もありますので、通年を通して仕事をすることができるでしょう。また学校医務室の場合は、土日・祝日は完全休が約束されますし、夜間勤務の必要もありませんので、余暇を大切にしたい医師や、夜間はほかの病院でアルバイトをして収入を増やしたいと考える医師には最適の職場です。
有機溶剤やコンピュータ関連の専門課程がある学校・専門学校では、特別定期健康診断を行うことが多くあります。また授業中の事故のリスクが考えられたり、VDT症候群のようなディスプレイ画面ばかりを見ている環境で心身の不調を訴え生徒の個別に対処できたりするよう医師の常駐が欠かせません。内科医もしくは総合診療ができる医師の存在が求められます。心療内科等メンタルヘルスに関連した診療経験を持っている医師は優遇されることもあります。もちろん定期健康診断の時だけのヘルプ医師の需要もありますので単発アルバイトをしたいというインターン医師などにもお勧めです。
大学の医務室の医師
大学の医務室は「保健管理センター」などと称され、学生の健康維持・健康増進のために設置されています。健康に関する様々な業務を行っており、健康相談のほか体調不良者の診療も行います。医師・看護師が常駐しており、病院のような診察なども行います。大学の医務室は各学部に設置されていることが多く、医師も複数名診療業務にあたっています。
大学の医務室で働く医師は、公務員・勤務医など地位も確立していますので収入はそれ相応に見込めます。毎日の学生の診療のほか、健康診断の際の問診・内診の仕事があります。医歯薬系・理工系の大学では、放射線や有機溶剤、VDT(コンピューターディスプレイやキーボード等を取り扱う行為・PC作業等が主)作業における身体への影響を管理することも医師の仕事として挙げられています。障害防止のために定期的に特別検診を行う業務もありますので、通年仕事に充実していると言えるでしょう。
大学の医務室で働く医師求人は、私立大学で主に行われることが多いようです。私立大学の医務室の医師求人は医歯薬系の転職支援サイトなどで時折提示されます。医務室勤務と言っても、定期健康診断の際のヘルプや、常駐医師の病休の間の代行など非常勤で働ける求人も見受けられます。内科医を求めることが主流ですが、時代の流れも汲み取って、心療内科医や精神科医、総合診療医などのニーズも高まっています。私立大学だけでも数多く存在しており、契約満了による医師の定期的な入れ替え・定年退職・補充などで求人情報は数多く掲出されています。